physics 原理 流体力学

アルキメデスの原理

押しのけた流体の重さから、浮力を求めるための原理。

アルキメデスの原理は、水や空気などの流体の中にある物体が、上向きの力を受けることを説明する物理の原理です。
浮力は、「押しのけた水の重さ」で決まります。

ひとことで言うと

アルキメデスの原理とは、物体が流体の中にあるとき、その物体は「押しのけた流体の重さ」と同じ大きさの上向きの力を受ける、という原理です。
この上向きの力を、浮力といいます。

まずイメージで理解する

お風呂に入ると、体が少し軽くなったように感じます。これは、水が体を下から押し上げているからです。その押し上げる力が「浮力」です。
また、湯船に体を入れると水位が上がります。これは体が水を押しのけているからです。アルキメデスの原理では、この「押しのけた水の重さ」が浮力の大きさになります。

公式

$$F = \rho V g$$

記号意味
$F$浮力
$\rho$流体の密度
$V$押しのけた流体の体積
$g$重力加速度

水の中なら、$\rho$ は水の密度です。
完全に水に沈んでいる物体なら、$V$ は物体の体積と同じです。
一部だけ沈んでいる物体なら、$V$ は水の中に沈んでいる部分の体積です。

この計算はどこで使われている?

式では $F = \rho V g$ と書きます。これは「どれくらいの浮力が出るか」を見積もる計算で、浮かせたいものを設計するときに使われます。

アルキメデスの原理の計算は、ものを浮かせる設計で使われます。知りたいのは、「どれくらいの浮力が出るか」と「その浮力で重さを支えられるか」です。

船の設計

船と荷物の重さを支えるには、どれくらいの水を押しのける必要があるかを考えます。

潜水艦

浮力と重さのバランスを変えるために、内部に入れる水や空気の量を調整します。

ライフジャケット

人を水面に浮かせるために、どれくらいの浮力が必要かを考えます。

観測ブイ

海の上に浮かび続けるために、機器の重さを支える浮力を見積もります。

気球・飛行船

空気の中で浮くために、押しのける空気の重さと全体の重さを比べます。

水中ロボット

水中で沈みすぎず浮きすぎず動けるように、浮力と重さのバランスを調整します。

船が浮く理由

鉄は水より密度が大きいので、鉄のかたまりは沈みます。しかし船は、内部に大きな空間を持つ形をしています。そのため、船全体としてはたくさんの水を押しのけることができます。
押しのけた水の重さが船の重さとつり合うと、船は浮きます。

船が浮くかどうかは、「材料が鉄かどうか」だけでなく、「どれだけ水を押しのけられる形か」で決まります。

動画でイメージをつかむ

例題に入る前に、浮力の動きを動画で確認したいときはこちら。

アルキメデスの原理の解説動画サムネイル

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例題

水の中で、物体が 0.002 m^3 の水を押しのけました。水の密度を 1000 kg/m^3、重力加速度を 9.8 m/s^2 とすると、浮力はいくらですか?

$$F = \rho V g$$

$$F = 1000 \times 0.002 \times 9.8$$

$$F = 19.6$$

$$19.6\,\text{N}$$

この物体は、水から 19.6 N の上向きの力を受けています。

かんたん計算機(浮力)

式は F = ρVg です。まずは初期値のまま計算してみましょう。

密度・体積・重力加速度を入力して計算できます。

水の場合、密度はおよそ 1000 kg/m³、地球上では重力加速度はおよそ 9.8 m/s² です。

浮く・沈むの条件

↓ 重力 > ↑ 浮力
沈む

↓ 重力 = ↑ 浮力
つり合って浮く

↓ 重力 < ↑ 浮力
上に浮かび上がる

よくある誤解

誤解1: 重いものは必ず沈む

正しくは: 重さだけでなく、押しのける流体の量や密度が関係します。

誤解2: 鉄は絶対に浮かない

正しくは: 鉄のかたまりは沈みやすいですが、船のような形にすれば浮くことがあります。

誤解3: 浮力は水の中だけ

正しくは: 空気の中でも浮力は起きます。気球が浮くのもその例です。

歴史・人物:アルキメデス

アルキメデスは古代ギリシャの数学者・物理学者で、浮力の原理で有名です。
王冠が純金かどうかを調べる話や、お風呂の水があふれる様子から体積と浮力の関係に気づいたという有名な逸話があります。「エウレカ!」の言葉でも知られています。

※ これらは伝説的な要素を含むと言われています。

関連する考え方

密度とは

物体や流体が、同じ体積あたりどれくらい重いかを表す考え方です。

重力とは

物体を下向きに引っぱる力です。浮力とのつり合いを考えるときに必要です。

圧力とは

流体が物体を押す力を考えるときに関係します。

力のつり合いとは

物体が浮くか沈むかを、重力と浮力のバランスで考えるときに使います。

ニュートンの運動法則

力が物体の運動にどう関係するかを説明する物理の基本法則です。

流体とは

水や空気のように、形を変えて流れるもののことです。

ミニクイズ

問題: アルキメデスの原理で、浮力の大きさは何で決まりますか?

A. 物体の色 / B. 押しのけた流体の重さ / C. 物体の名前

答えを見る

正解: B

問題: お風呂で体が軽く感じるのはなぜですか?

A. 水が体を下から押し上げているから / B. 体重が本当に減るから / C. 水が重力を消すから

答えを見る

正解: A

問題: 船が浮く理由として正しいものはどれですか?

A. 鉄は必ず浮くから / B. 船が十分な水を押しのけ、浮力と重さがつり合うから / C. 海の水が船を避けているから

答えを見る

正解: B

最後のまとめ

アルキメデスの原理は、浮力の大きさを教えてくれる物理の原理です。
物体は、押しのけた流体の重さと同じ大きさの上向きの力を受けます。

だから、船が浮く理由も、お風呂で体が軽く感じる理由も、同じ原理で説明できます。

浮力は、見えないけれど、私たちの身近なところではたらいている力です。